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  • 執筆者の写真LighCo_Ishijima

飲食店の色温度(光の色)の決め方

更新日:2022年2月2日



飲食店といえば、落ち着いたハイエンドな店は電球色(2700K~3000K(※))、ファミリーレストランのような家族みんなでワイワイと楽しめるような業態や、やや明るめのパティスリーなどでは温白色(3200K~3500K)という一般的な概念はありますが、果たしてそんな画一的でいいのでしょうか。

※=K(ケルビン)と読みます。数字が小さいほどろうそくや焚き火のような暖かい暖色系の色味に、逆に数字が大きくなれば青白い光の色味になっていきます。


というのは、客席側は前述したような考え方はテンプレートとして良いと思いますが、厨房やお手洗い、共用通路などはどうでしょうか?

同じ店舗内でも用途や場所が違えばマッチする色温度も違ってきます。


・客席の照明の色温度

当然、テーブル周りの照明は、雰囲気と料理を引き立てて見せる2700K~3000K付近の色温度が良いでしょう。

昨今ではさらにロウソクの色味に近い2400Kといった低色温度を選ばれる焼肉店やカフェのお客様もいらっしゃいます。

また、私だけでなくこの記事をご覧になられているお客様も経験がおありかもしれませんが、低色温度の光には『落ち着き』を醸し出す効果があります。


某精神科医の権威の方が「太古の昔、火が猛獣や害獣から守ってくれる事で安心感を覚えたのが、深層意識下のDNAレベルで残っているのでは」といった事をお書きになられている本を読んだことがありますが、もしかしたら実際にそうなのかもしれません。

他にも一日の終わりを告げる夕焼けの色に似ているため、安息感を得られるという説もあります。


・厨房やレジ周りの照明

ベース照明は店内に合わせるとして、お会計を行う手元付近はユニバーサルダウンやスポット、あるいは手元灯などを使い、ピンポイントで4000K~5000Kといった高色温度に設定しておくと会計や細かい作業の精度が増します。


一般的にレジは出入り口、窓側に配置されることが多く、日中は外光が入ってくるため問題ありませんが、陽が落ちてからの事を勘案し、前もってこうした手を打っておくのも良いかもしれません。

また、厨房は施主様、設計様の意向にも依りますが、精緻な作業が要求され、その確度を高めるという理由から温白色~高色温度のものをお勧めしています。

ただし、オープンキッチンなどの場合は客席・ホールと続きになるので、そうしたお客様から見えてしまう設えの店舗は注意が必要です。


オープンキッチンとひと言に言っても、最近のお店では、裏手の厨房で仕込みや細かい作業を行い、仕上げの「見せ」の部分だけをオープン側に出てきて行うというスタイルのお店もあるので、色々と面白いなと思います。


・看板・外構照明

一般的に言えば看板照明は色再現性や誘目性の観点から高色温度のものが良いとされていますが、夜間でのお店のコンセプト、高級感、雰囲気を演出しにくい事や、外構照明との兼ね合いから電球色を選ばれるお客様が多いように思います。


特に和食・懐石料理店やバル・フランス料理店などは趣が肝心なので、自然とこうしたチョイスになってきます。

飲食店の場合は色温度が低い電球色の光を使った看板にすることで、落ち着いた雰囲気や高級感、和の趣などを演出することもできます。


看板照明の他にも、和食店の入り口までのファサードの足元を電球色の行燈風庭園灯で演出することにより、夜間のお客様を幽玄な光で誘導するといった機能性と雰囲気を両立したアプローチもできるなど、光も使い方ひとつでよりお店の風格を高める効果が得られます。

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