オフィス照度基準ガイド【2026年版】|最新JIS Z 9110:2024の変更点と設計のポイント
- LighCo_Ishijima
- 2025年12月23日
- 読了時間: 10分
更新日:1月14日

「オフィス 照度」の選定は、単に空間を明るくする作業ではありません。
それは、スタッフ様の知的生産性を最大化し、クライアント企業のブランディングとウェルビーイング戦略を光で具現化する、重要な設計要素です。
本記事では、オフィスメインの設計事務所様およびデザイナー様向けに、本記事では、2024年12月20日に改正・発行された最新の『JIS Z 9110:2024(照明基準総則)』に基づき、現代のオフィスに求められる最適な光環境について解説します。
この記事を読むことで、エビデンスに基づいた最適な光環境をデザインし、クライアントの企業価値向上に直結する照明計画を成功させる道筋が明確になります。
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Ⅰ. オフィス照明計画:成功に導くための基礎設計論
オフィス照明計画の根拠となる「JIS照度基準」の基礎知識
オフィス設計においてJIS基準は「推奨」ですが、「事務所衛生基準規則」は法的義務です 。
2022年12月の改正により、作業区分が従来の3区分から2区分へ統合されました 。
設計者は、最低でも以下の数値を下回らないよう計画する必要があります 。
一般的な事務作業:300ルクス以上(PC作業や書類の読み込みなど)
付随的な事務作業:150ルクス以上(資料の袋詰めや細かい識別を要さない作業)
これらに適合しない環境は、労働者の健康障害を招く恐れがあるため、コンプライアンスの観点からも必須の知識です 。
ただし、この法的基準はあくまで「最低限」の数値です。
■オフィス照明基準 比較表
比較項目 | 事務所衛生基準規則(法的義務) | JIS Z 9110(推奨基準) |
位置づけ | 労働者の健康を守る最低ライン | 快適性・生産性を高める品質基準 |
一般的な事務室 | 300ルクス以上 | 750ルクス以上 |
付随的な事務室 | 150ルクス以上 | 500ルクス以上 |
未達成時のリスク | 法令違反・健康障害・安全配慮義務違反 | 生産性低下・眼精疲労・企業の魅力低下 |
主な目的 | 安全と健康の確保 | 知的生産性の向上・ウェルビーイング |
クライアント企業の生産性を高め、質の高い視環境をデザインするためには、以下のJIS Z 9110に基づいた推奨照度をリファレンスとしてプランニングに活用することが重要です 。
※本記事では照明設計の基本であるJIS Z 9110に基づき解説していますが、実務においては最新の国際基準を取り入れたJIS Z 9125:2023(屋内作業場の照明)への対応も重要視されています。 LighCoでは、これらの最新規格を遵守した、次世代のオフィス環境を提案しています。
オフィス照明計画のためのJIS照度基準:詳細比較データ
1. 執務・作業エリア(生産性を支える光)
最も高い視覚的パフォーマンスが求められるエリアです。
エリア・詳細 | 推奨照度 (lx) | 設計上のポイント(画像用補足) |
一般事務室(机上) | 750 | VDT作業が中心の場合は500lxをベースに設計。 |
設計・製図・精密作業 | 1500 | 手元の作業性確保のため、タスク照明の併用を推奨。 |
オープン・執務エリア | 500 | 非作業域の照度を抑える「タスク・アンビエント設計」が有効。 |
役員室(会議・執務) | 750 | 落ち着きと重厚感を演出するため、色温度を低めに設定。 |
■ MEMO
JISでは750lxとありますが、実際は作業(タスク)照明・周辺(アンビエント)照明を導入して空間のコントラストをつけた方が、デザイナー様が求める意匠性と省エネを両立しやすいです。
2. コミュニケーション・共有エリア(交流を促す光)
機能性と雰囲気を両立させる必要があるエリアです。
エリア・詳細 | 推奨照度 (lx) | 設計上のポイント(画像用補足) |
会議室(一般) | 500 | Web会議を行う場合は、顔の影を消す「鉛直面照度」を重視。 |
応接室・サロン | 500 | 表情を柔らかく見せる拡散光とアクセント照明の組み合わせ。 |
受付・ロビー・レセプション | 300 | 企業のアイデンティティを光で表現。高演色性器具を推奨。 |
廊下・通路・階段 | 100 〜 150 | 執務エリアとの明暗差をつけすぎず、安全な歩行を確保。 |
3. リフレッシュ・特殊エリア(ウェルビーイングを叶える光)
モード切替や心理的快適性を最優先するエリアです。
エリア・詳細 | 推奨照度 (lx) | 設計上のポイント(画像用補足) |
カフェ・休憩スペース | 100 | 低照度×低色温度でリラックス。 |
社員食堂 | 300 | 演色性(Ra90以上)を重視し、料理の鮮度を際立たせる。 |
更衣室・トイレ | 200 | 身だしなみチェックに適した鏡面の垂直面照度を確保。 |
倉庫・書庫 | 100 | ラベルなどの視認性を考慮。 人感センサーによる省エネ化。 |
[ 出典・引用 ]
本記事の執筆にあたり、以下の公的基準および規格をリファレンスとして参照しています。
厚生労働省:事務所衛生基準規則の改正(令和4年12月1日施行) 職場における労働衛生基準が変わりました(リーフレット) (事務所における最新の法的照度基準と区分について)
日本産業規格 (JIS):JIS Z 9110:2024(照明基準総則) JIS Z 9110 照度基準(日本産業標準調査会) (各エリア・作業内容別の推奨照度、維持照度、および設計要件)
※本記事は、2024年12月20日に改正された最新のJIS Z 9110に基づき解説しています 。
今回の改正により、屋内照明の具体的な要求事項はJIS Z 9125:2023(屋内照明基準)へ集約・移行されました 。
LighCoでは、これらの最新規格を遵守した、次世代のオフィス環境を提案しています。
具体的なJIS数値基準を適用したオフィスデザインの事例は、以下よりご覧になれます。
Ⅱ. 知的生産性を最大化する光:色温度と照度基準の科学的根拠
実務で役立つ「オフィス 照度」の設計目安と計算のポイント

「オフィス 照度」を検討する際、数値(ルクス)だけでなく「光の質」との相関関係を理解する必要があります。
机上照度と鉛直面照度のバランス:
近年のオフィス設計では、手元の明るさ(机上照度)だけでなく、壁面や人の顔の明るさである「鉛直面照度」が重要視されています 。
コミュニケーションの質を上げる: 一般的な事務所では、床面から1.2m(着席時の目線高さ)における鉛直面照度を100lx以上確保することが推奨されます 。 これにより、対面時やWeb会議越しでも相手の表情が鮮明に伝わり、円滑な意思疎通を促すことが可能です 。
「明るさ感」の向上: 鉛直面照度を適切に設計することで、実際のルクス数以上に空間全体が明るく感じられ、開放的な印象をスタッフ様に与えます 。
グレア指標(UGR)の活用とグレア(眩しさ)対策: PC作業が中心となる執務エリアでは、不快グレアの指標であるUGR値を19以下に抑えることが設計上のスタンダードです 。 光源からの高輝度な光が直接目に入らないよう、ルーバー付き器具やレンズ選定によるグレアを抑制する工夫や照明器具自体の配置を考慮することで、視覚的なストレスを最小限に抑えた環境デザインを目指しましょう 。
演色性(Ra)の重要性: Ra80以上を基本とし、肌色や素材を美しく見せることでワーカーの心理的ストレスを軽減します。
質の高い視環境を支える「均斉度」と「反射率」の最適化
適切な照度(ルクス)を確保するだけでなく、空間内の「光の質」を左右するのが、明るさの広がりを示す「均斉度」と、内装材による光の跳ね返りを示す「反射率」です。
視覚的疲労を抑える均斉度: 執務エリアにおいては、作業面の平均照度に対して、最も暗い部分の比率(最小照度/平均照度)を0.6以上に保つのがJIS基準における設計指針です。 明暗差を抑えることで、視線の移動による眼精疲労を軽減し、集中力の持続を助けます。
仕上げ材との相関(反射率): デザイナーが選定する内装材の反射率は、照明効率に直結します。 天井(70%〜80%)、壁(40%〜60%)、床(20%〜40%)といった推奨反射率を指標として設計に取り入れましょう。高い反射率の仕上げ材を適切に配置することで、少ない照明エネルギーで空間全体の「明るさ感」を最大化することが可能です。
[ 出典・引用 ]
本セクションで解説した均斉度および反射率の指標は、以下の規格をリファレンスとしています。
※本記事は、2024年12月20日に改正された最新のJIS Z 9110に基づき解説しています 。
今回の改正により、屋内照明の具体的な要求事項はJIS Z 9125:2023(屋内照明基準)へ集約・移行されました 。
LighCoでは、これらの最新規格を遵守した、次世代のオフィス環境を提案しています。
Ⅲ. 設計要件に応じた照明器具の選定とゾーニング戦略
「ONからOFFへ」:リラクゼーションスペースの設計指針
リラクゼーションスペースは、スタッフ様のモード切替(リカバリー)を促す戦略的エリアです。
コントラスト設計: 執務エリア(均一な高照度)との明暗差を意図的に作り出し、視覚から脳をリラックスモードへ切り替えます。
低色温度と低照度の相関: 2700K〜3000Kの低色温度と適切な低照度を組み合わせることで、快適性を最大化します。
低重心な配光: 直接光を抑え、間接照明やスタンドライトを用いた「低い位置の光」で、非日常を演出します。
Ⅳ. 高効率・高付加価値プロジェクトのためのコスト・エネルギー戦略
お客様へ提案すべき「次世代の照度設計」
これからのオフィス照明計画には、省エネ性能とワーカーの健康(ウェルビーイング)の両立が欠かせません。
サーカディアン照明の導入: 人間の生体リズムに合わせて照度と色温度を自動制御し、自律神経を整える提案は、高単価プロジェクトでの差別化要因となります。
タスク・アンビエント照明(T/A照明): 必要な場所だけを明るくし、空間全体は抑えめの照度にすることで、大幅な省エネと高い意匠性を両立させます。 次世代の照明については下記の記事で詳しく解説しています。 >>【設計事務所・デザイナー様向け】企業の価値を高める「オフィス照明計画」の最新戦略と実務設計ガイド
長期的な視覚パフォーマンスを保証する「維持照度」の設計思想
オフィス照明の設計においては、竣工時の明るさだけを考慮するのではなく、数年後の運用フェーズを見据えた「維持照度」を検討していきましょう。
経年変化への配慮: 照明器具は、光源の寿命による光束低下や、器具・室内面の汚れによって、時間の経過とともに必ず暗くなります。
保守率の算出: 設計の実務では、これらの劣化要因をあらかじめ数値化した「保守率」を計算に含め、運用期間中に照度がJIS基準や法的基準を下回らないよう、初期の光束に余裕を持たせる必要があります。
クライアントへの付加価値: 「維持照度」の概念に基づいた設計は、長期にわたってスタッフ様の視覚的健康と生産性を守るための「品質保証」となります。 これは、竣工直後の見た目だけでなく、企業のウェルビーイング戦略を支え続ける持続可能なデザイン提案の核となる考え方です。
[出典・引用]
本セクションで解説した維持照度および保守率の考え方は、以下の規格に基づいています。
※本記事は、2024年12月20日に改正された最新のJIS Z 9110に基づき解説しています 。
今回の改正により、屋内照明の具体的な要求事項はJIS Z 9125:2023(屋内照明基準)へ集約・移行されました 。
LighCoでは、これらの最新規格を遵守した、次世代のオフィス環境を提案しています。
まとめ
プロフェッショナルな照明計画をクライアントへ
適切な「オフィス 照度」の設計は、スタッフの皆様のエンゲージメントを高め、企業の生産性を向上させる経営戦略そのものです。
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