【設計事務所・デザイナー様向け】企業の価値を高める「オフィス照明計画」の最新戦略と実務設計ガイド
- LighCo_Ishijima

- 2025年12月18日
- 読了時間: 11分
更新日:2025年12月23日

「オフィス照明」の選定は、単に空間を明るくするだけでなく、スタッフ様の健康、生産性を最大化し、クライアント企業のブランディングとウェルビーイング戦略を光で具現化する、重要な設計要素です。
本記事は、オフィス案件を手掛ける設計事務所様およびデザイナーの皆様向けに、以下の情報を網羅的に解説します。
照度基準や照明種類といった基礎知識の再確認
最新のサーカディアン照明、タスク・アンビエント照明を用いた照明計画のステップ
コストとデザイン性の両立
この記事をお読みいただくことで、エビデンスに基づいた最適な光環境をデザインし、クライアント様の企業価値向上に直結する照明計画を成功させる道筋が明確になります。
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オフィス照明の重要性 — なぜ「明るいだけ」ではダメなのか
オフィス照明は、かつて「一定の明るさを確保できれば良い」と考えられていましたが、現代のオフィス設計においては、企業活動をサポートする要素として捉えられています。
照明計画を適切に行うことで、スタッフ様、来訪者様、そして企業の収益にポジティブな影響をもたらします。
スタッフ様のウェルビーイングを叶える「健康経営」と生産性向上のための照明計画
不適切な照明は、スタッフ様の眼精疲労や集中力低下を引き起こす原因になります。
特にデスクワークが中心のオフィスでは、手元やディスプレイへの照度が不足したり、逆に眩しすぎたりすると、上記の疲労リスクを高める可能性があります。
適切な照度(明るさ)と光色(色温度)を組み合わせることで、脳の覚醒を促し、スタッフ様のウェルビーイングと集中力を維持し、結果的に企業の生産性向上に貢献します。

企業のコンセプトを具現化する光のデザインと第一印象の演出
オフィスの照明は、来訪者や採用候補者に対して与える企業のブランドイメージを大きく左右します 。
エントランスや応接室において、企業コンセプトに基づいた照明計画を採用することで、「活発で革新的」「落ち着いた信頼感がある」といった様々な印象を演出することができます。
単なる機能性だけでなく、デザイン性を意識した照明選びが、企業の顔となるエリアでは特に重要です 。

ランニングコスト(電気代)の削減効果
オフィスにおける電力消費のうち、照明は大きな割合を占めており、ここを見直すことが効果的な省エネ対策の一つとなります。
下のグラフは、一般的なオフィスビルにおける夏季ピーク時の電力消費内訳を示したものです。空調に次いで、照明が全体の約24%もの電力を消費していることが分かります。

このデータが示す通り、照明の消費電力を削減することは、オフィスのランニングコスト削減に直結します。
従来の蛍光灯や白熱電球を最新のLED照明に交換することで、消費電力を大幅に削減できるだけでなく、以下のようなメリットも期待できます。
長寿命によるメンテナンスコスト削減: LEDは従来の光源に比べて圧倒的に寿命が長く、交換頻度を大幅に減らすことができます。 これにより、ランプ代だけでなく、交換にかかる手間や人件費といったメンテナンスコストも削減可能です。
空調負荷の低減: LEDは発熱量が少ないため、夏季の空調負荷を軽減し、空調の消費電力削減にも貢献します。
LED化には初期投資が必要となりますが、これらのランニングコスト削減効果を考慮し、中長期的な視点でのROI(投資対効果)を算出してクライアントに提示することが重要です。
また、リース契約の活用や、国や自治体による補助金・助成金制度の利用も視野に入れ、イニシャルコストを抑えつつ最大のコストメリットを享受できるプランを提案しましょう。
知っておきたいオフィス照明の「光の基準」
快適で安全なオフィス環境を設計するためには、法律や業界標準に基づいた「明るさ」の基準を理解しておくことが不可欠です。
適切な照度基準を満たすことで、そこで働くスタッフ様の身体にかかる負担を軽減し、労働環境と生産性の質を保証します。
事務所衛生基準規則で定められた最低照度300lx(ルクス)とは
労働者の健康と安全を守るため、「事務所衛生基準規則」により、作業面の最低照度(lx:ルクス)が定められています。
一般的な事務作業を行う場所(読み書き、PC入力など)では、最低でも300lx以上の照度を確保することが法律で義務付けられています 。
ただし、これはあくまで「最低基準」であり、より快適な環境のためには、次のJIS推奨照度を目標に設計することが望ましいです 。
エリア別 JIS(JIS Z9110)推奨照度レベル
日本産業規格(JIS Z9110)は、作業の種類に応じて推奨される照度レベルを定めています。
例えば、設計や製図など精密な作業を伴うエリアでは750lx程度、一般的な執務空間や会議室では500lx程度が目安となります 。
廊下や休憩室などの共用空間では100〜300lx程度を目安とし、エリアの機能や作業内容に合わせてメリハリのある明るさを設定することが、理想的なオフィス照明計画のポイントです 。
推奨照度を目標に設定することで、法令を遵守した上での、高品質なオフィス環境を実現できます 。

光の質を高める演色性(Ra)(Ra80以上)とグレア(眩しさ)対策
照度だけでなく、光の質も重要です 。
演色性(Ra)は、照明によって物体がどの程度自然な色に見えるかを示す指標であり、一般的にRa80以上がオフィス照明では求められます 。
また、照明が直接目に入ったり、ディスプレイに反射したりする「グレア(眩しさ)」は、大きな疲労の原因となるため、その評価指標であるUGR値(統一グレア評価)を考慮した設計が必須です。
UGR値19以下を目安に、眩しさを抑えるグレアレスダウンライトを選ぶなど、器具の設計や配置による対策を講じましょう 。
【用途別】エリアに合わせた最適な照明の選び方とデザイン
オフィス内には、集中を促す場所、リラックスを促す場所、コミュニケーションを活発にする場所など、多様な目的のエリアが存在します。
それぞれの目的に合わせて照明器具の種類や光の性質を使い分けることが、機能的且つ、おしゃれなオフィスを実現する鍵です。
執務室(ワークスペース)の照明設計
執務室は、長時間作業を行うため、照度の均一性とグレア対策が重要です。
空間全体を均一に照らす全般照明として、天井に埋め込むベース照明やベースダウンライトが主流です 。
さらに、必要な場所に必要な光を供給するタスク・アンビエント照明の導入により、全体照度を抑えつつ手元の照度を確保できるため、省エネと快適性の両立が可能です。
また、室内の見切りなどにライン照明をアクセント的に配置するのも、現代的なオフィスデザインと調和して効果的です 。
色温度は、集中力維持に適した昼白色(5000K程度)を中心に、4000K〜5000Kの範囲で調整するのがおすすめです 。

会議室・応接室(コミュニケーションエリア)の照明設計
会議室は、プレゼンテーション、ブレスト、来客応対など、多様な用途で使われます。
目的に合わせて明るさや光色を瞬時に切り替えられる調光・調色機能が非常に有効です。
通常会議/プレゼン時: 昼白色(5000K)で資料の色を正確に見せ、集中を促進。
ブレスト/意見交換時: 温白色(3500K)に下げ、リラックスした雰囲気で活発なコミュニケーションを促す。
最近では、ペンダントライトを会議テーブル上部に配置し、デザインのアクセントにする事例も増えています。
多様な利用シーンに対応する「調光・調色システム」とデザイン照明の活用
会議室・応接室は、プレゼンテーション、ブレスト、来客応対など多様な用途で使われます。
目的に合わせて明るさや光色を切り替えられる調光・調色システムが非常に有効です 。
エントランス・受付(企業の顔となるエリア)の照明設計
企業の第一印象を決めるエントランスでは、間接照明やウォールウォッシャーで壁面やロゴサインを照らし、奥行き感を演出することが効果的です。
社名ロゴを内照式のチャンネル文字にして設置する企業様も少なくありません。
エリア全体の色温度は、温かみと信頼感を与える温白色〜白色(3500K~4000K)が好まれます

リフレッシュ・休憩スペースの照明設計
休憩室は、心身のリラックスと疲労回復が目的です。
温かみのある電球色(3000K程度)を採用し、光の明るさを抑えめに設定します。
天井全体を照らすシーリングライトは使用せず、小口径のベースダウンライトやユニバーサルサウンライトでベースの照度を取りましょう。
それに併せて、ペンダントライトやスタンドライト、間接照明を用いて柔らかな光と陰影を作り出すことで、カフェのような落ち着いた雰囲気を演出できます。

オフィス照明の最新トレンドと導入すべき機能
近年のオフィス 照明のトレンドは、単なる省エネから、働く人の健康や体験を向上させるウェルビーイングの考え方へとシフトしています。
人の生体リズムを整える「サーカディアン照明」と色温度の活用
人間の体内時計(サーカディアンリズム)は、太陽光に類似した照明に強く影響を受けます。
サーカディアン照明(調色・調光システム)は、時間帯に合わせて光の色と明るさを自動で変化させるシステムです。
朝:高い色温度(寒色系)で覚醒を促す。
夕方:徐々に色温度を下げ、リラックスへと移行させる。
これにより、日中の集中力向上と夜間の良質な睡眠をサポートします。
色温度が生産性に与える影響について、さらに詳しく知りたい方は、オフィスの色温度で生産性を最大化する光の調色計画の記事へお進みください。
サーカディアン照明は、オフィス環境におけるウェルビーイングを高める最先端のソリューションです。
省エネと快適性を両立する無線制御システムと人感センサー
照明をゾーンごとに細かく制御できるBluetoothに代表される無線制御システム(IoT照明)は、必要な場所に必要な光を供給することを可能にし、大幅な節電と快適性を両立させます 。
また、人感センサー付き照明は、人がいないエリアの消し忘れを自動で防ぎ、省エネに直結します 。
これらのシステムを導入することで、快適性を損なうことなく省エネへの貢献やコスト削減を実現できます 。
複雑なオフィスレイアウトの変更にも柔軟に対応できる個別制御機能も魅力です。
建築認証基準「WELL」対応と自然光を取り入れた光環境のデザイン
健康と快適性に焦点を当てた建築認証基準「WELL認証」では、照明環境が必須項目とされています。
また、オフィスに植物などの自然要素を取り入れる「バイオフィリックデザイン」も注目されています。
照明を植物育成に適した波長に調整したり、自然光を最大限に取り込んだりすることで、心理的なリラックス効果と生産性の向上を両立させます。
オフィス照明導入・リニューアル時の注意点
新しいオフィス 照明を導入する際は、失敗や無駄なコストを避けるために、事前の計画と確認が重要です。
事前に設置する現場環境を綿密にチェック
照明器具の導入やリニューアル時は、事前の現場調査を綿密に行いましょう。
既存で照明器具が設置できていても、新しい照明器具が確実に設置できるとは限りません。
ダウンライトなどは天井の懐が狭いと設置できない場合がありますし、照明の位置によっては、天井内の設備や軽天などにかかってしまい、設置ができない場合もあります。
天伏図によりある程度の回避は可能ですが、工事には費用と時間がかかるため、導入前に専門業者に依頼して現場を確認し、全体の初期費用を正確に見積もることが大切です。
初期費用とランニングコストの総合的な検討
LED照明は、従来の照明に比べて初期費用が高くなりますが、電気代(ランニングコスト)は大幅に安く、寿命も長いため交換コストも抑えられます。
長期的な視点に立ち、省エネ効果によるROI(費用対効果)を総合的に計算して、最適な照明計画を立てましょう。
また、補助金制度を活用することで、初期導入費用を抑えられる可能性もあります。
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オフィスの各エリアに合う照明ってどんなもの?
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